生物多様性・生態情報の環境情報への統合化
および統合情報を利用した生物多様性影響
評価法開発

研究事業の目的

世界中の既存生物多様性観測ネットワークによって、これまでに大量の生態情報・生物多様性情報が蓄積されてきた。しかし、これらの情報は分散しており、その形式や利用可能性は様々であるため、統一的な利用が困難である。科学的根拠に基づいた地球環境の質的・量的変化の推定と予測をすすめるために、上記情報に存在する4つのレイヤーを主な対象として、それらの集積、データ形式の 標準化や標準形式への調整(マッピング)により情報統合を行うことを第一の目的とする。

次に、集積・標準化した生物情報・環境情報を用い、生物多様性影響の予測・評価法を開発し、情報の利活用を通じて生物多様性の保全、地球温暖化への適応などへの貢献を目指す。また、本事業の遂行過程において、地球環境分野の問題解決に積極的に関わる次世代の人材を育成することも進める。これらの遂行のために、下記4つの事業を行う。

各事業の概要

1. 生物多様性・生態情報統合システム開発とDIASへの統合

東京大学大学院総合文化研究科
伊藤元己・山口和紀

  • 種の分布、生態系組成、生態系動態、物質循環の各レイヤーのデータ構造の調査
  • 各レイヤー内でのデータ形式標準化・レイヤー間での項目間の関係性定義
  • 上記標準化されたデータを扱う統合システムの構造決定
  • 生物多様性・生態系統合データベースシステムのプロトタイプの構築

2. フィールド生態情報標準化と情報取得法開発

東京大学大学院農学生命科学研究科・北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
大手信人・鈴木雅一・日浦 勉・仲岡雅裕・中路達郎

  • 既存の生態系調査情報の項目・公開状況・公開方法の調査し、メタデータを取得
  • メタデータから標準データ形式を策定
  • モニタリングサイト1000森林分野・JaLTERサイトの生態観察情報の標準化、および位置情報の付与
  • 植物種ごとの葉の物理化学データや分光情報と光合成速度や揮発性有機物(BVOC)基礎放出量などの機能量収集などによる観測高度化

3. 各種環境要因が生物多様性におよぼす影響の評価およびそのマップ化

国立環境研究所
三枝信子・中島英彰

  • 国内外における既存のLTER、FLUXNET、各生態系バイオマス関連データベースの整備・運用状況の調査
  • 関連データベース相互のリンク、統合の可能性と方法の策定
  • アジア太平洋地域のモデル地域における既存データの収集
  • 生態系情報について分野横断的データベースの構築指針策定

4. 生態系サービス評価およびそのマップ化

東北大学大学院生命科学研究科
中静 透・黒川紘子・菊池佐智子

  • 国内外で利用可能な生態系サービス関連データベースの調査
  • 生態系サービス評価の分析(InVESTの手法を対象として分析)
  • 水質、土壌保全、二酸化炭素吸収、商品作物、送粉、病害虫防止などの生態系サービスの評価に必要なデータ(土地被覆、気候変動、生態系分布、各生態系の生物多様性とその機能)の収集、統合
  • 生態系サービス評価のアルゴリズムのプロトタイプを構築
  • 日本国内でモデル地域を設定して、その地域での生態系サービスの評価プロトコルを作成